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平成26年度 地盤工学会東北支部表彰

掲載日:2015年4月27日(月)
最終更新日:2015年8月3日(月)

地盤工学会東北支部では,地盤工学に関する身近で地域に密着した事業・研究等を通じ,会員の専門技術力の向上,調査・設計・施工等の効率化・レベルの向上,地盤工学のPR・イメージ向上などに貢献した優れた業績を毎年度表彰しております。表彰候補の公募を行い,地盤工学フォーラムでの発表と応募書類に基づき表彰委員会において審査を行い,受賞者を決定します。例年4月頃に開催される東北支部総会で表彰式が行われ,受賞者には表彰状と記念品が贈呈されます。

平成26年度は,以下の通り授賞を行いました。その業績をここに紹介します。

平成26年度 地盤工学会東北支部表彰(技術的業績部門)
(それぞれ順不同で掲載しております。)
  • 支部賞(最優秀賞)  2件
  • 支部賞           5件
(参考) 歴代受賞業績紹介募集要項,表彰規定等

平成26年度 地盤工学会東北支部表彰(技術的業績部門) 支部賞(最優秀賞)

仙台市高速鉄道東西線における自然由来重金属含有掘削土の処理


受賞者:森 研一郎(仙台市交通局 東西線建設本部 建設部)
水戸 光昭(仙台市交通局 東西線建設本部 建設部)
門間 聖子(応用地質株式会社 東北支社 ジオテクニカルセンター)
塚本 真理佳(応用地質株式会社 東北支社 ジオテクニカルセンター)
中村 真理子(応用地質株式会社 東北支社 ジオテクニカルセンター)

仙台市が建設を進めている地下鉄東西線においては,一部の区間に自然由来の重金属を含む竜の口層(泥岩を主とする)が分布している。岩石は土壌汚染対策法の適用外ではあるが,環境リスク低減の観点から処理対策を行った。

調査結果に基づき,地下鉄工事に伴う建設発生土の処理にあたっては,掘削直後に砒素を溶出するリスクと,酸化進行後に酸性水と重金属を溶出する可能性を有するリスクを念頭に置いて建設発生土の処理対策の検討を進めた。

処理対策は砕石場跡地への盛土処理とし,搬入先周辺住民とのリスクコミュニケーションを図りつつ,また処理の段階ごとに専門技術者による工事支援業務を設定し,透明性のある監理体制の下に実施した。

処理工事は平成26年9月に竣工し,その後も周辺地域のモニタリング結果において要対策土由来の重金属による影響は生じておらず,対策の有効性が示された。


写真1: 竣工した要対策土盛土

平成26年度 地盤工学会東北支部表彰(技術的業績部門) 支部賞(最優秀賞)

東日本大震災により被災した仙台市の造成宅地の復旧・耐震対策プロジェクト


受賞者:門田 浩一(パシフィックコンサルタンツ株式会社 地盤技術部)
佐藤 真吾(株式会社復建技術コンサルタント)
三嶋 昭二(応用地質株式会社 東北支社)

平成23年3月11日の東北地方太平洋沖地震において,仙台市では,丘陵地部の盛土造成地で滑動崩落被害が160地区発生した。これらの被災宅地の復旧は,「造成宅地滑動崩落緊急対策事業」によって進められた。しかし,過去に前例のない事業であったため,仙台市宅地保全審議会技術専門委員会に学術・技術的指導を仰ぐなど,官民学が一体となって本プロジェクトを進め,盛土造成地の被害形態や変状メカニズムを考察すると伴に,新たに宅地復旧・耐震対策設計手法について検討した。設計手法については,表面波探査,三軸圧縮試験及び三成分コーン試験等の各種試験結果をもとに,二次元安定計算,ニューマーク法及び二次元有効応力動的解析を行なって被害状況を再現し,設計条件・計算方法等を検討した。また宅地復旧と滑動崩落の再発防止を図るため,公共用地や個々の宅地で行う面的な滑動崩落防止対策工について検討した。

なお,本プロジェクトの成果は,国の新たな宅地防災の技術ガイドラインに反映されることとなった。


図1: 宅地復旧・耐震対策工法(固結工法等)の一例


写真1: 固結工法の施工状況写真

平成26年度 地盤工学会東北支部表彰(技術的業績部門) 支部賞

スキージャンプ台改修工事へのEPSブロックの適用


受賞者:赤川 和敏(鹿島建設株式会社)
宮本 浩介(鹿島建設株式会社)

スキー連盟公認施設である,花輪スキー場にて供用中のミディアムヒルサイズのジャンプ台をノーマルヒルサイズに改修するものである。

当初計画では,選手が着地する縦断面形状(最大傾斜角度35°)を土工事によって変更する予定であった。しかし,以下の問題を解決するため,改修にEPSブロックを適用したものである。

問題点: (1) 4ヶ月の短工期,(2) 施工箇所の地形条件による資材供給難,(3) 施工上の安全性確保

この代案には設計上の不確定要素があったが,原位置にて試験施工を行い設計的な課題を克服し,工期内に無事工事を完成することが出来た。


図: ランディングの横断面の比較
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平成26年度 地盤工学会東北支部表彰(技術的業績部門) 支部賞

軟弱地盤に建設する高速道路の試験盛土に対する一考察


受賞者:稲荷 優太郎(東日本高速道路株式会社)
澤野 幸輝(株式会社ネクスコ・エンジニアリング東北)
高坂 敏明(株式会社ダイヤコンサルタント)
佐々木 徹(株式会社大林組)
加藤 真司(東日本高速道路株式会社)

東北中央自動車道は平成30年開通予定で,現在建設中の南陽高畠ICから山形上山IC間24.4kmのうち,起点側約3kmの範囲は,地表面から超軟弱な高有機質土(泥炭)が厚く堆積するとともに,軟弱な粘性土層と有機質土層などが砂層を挟みながら厚さ100m以上で堆積している。この様な厚さを持つ軟弱地盤上への高速道路建設はこれまで前例がない。

このため,試験盛土を施工し,シート式真空圧密工法およびキャップ式真空圧密工法の適用性を確認した。さらに,シート式真空圧密工法については改良範囲の周囲に矢板を打設し,周辺地盤の引込みの軽減効果も併せて確認した。

その結果,シート式真空圧密工法は当該地盤での改良効果が高かったが,周辺地盤への影響が大きく,採用に当たっては対策が必要であるものと判断した。キャップ式真空圧密工法は負圧シール層の気密性を向上させる必要があった。

以上の結果を,当該地における高速道路盛土の設計方針に反映させるものとした。


図2: 試験盛土の配置図
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図1: 試験施工箇所の想定地質縦断図
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平成26年度 地盤工学会東北支部表彰(技術的業績部門) 支部賞

軟弱地盤上における圧密沈下に配慮した高架橋建設工事


受賞者:杉田 清隆(東日本旅客鉄道株式会社 構造技術センター)
丸子 文之(東日本旅客鉄道株式会社 東北工事事務所)
佐々木 愛(東日本旅客鉄道株式会社 東北工事事務所)

JR仙石線の陸前大塚〜陸前小野間は東日本大震災による津波被害が大きく,東松島市のまちづくり計画にあわせ高台へルートを移設し復旧する。高台へのアプローチは,起・終点ともに高架橋である。

起点方の高架橋は高さ5.3mの盛土上に構築する。当該箇所の地盤はN値0の粘性土層で約20mの厚さであり,盛土荷重により90%圧密するまで220年と想定された。圧密完了後の高架橋構築が理想だが,先行盛土により高架橋への悪影響を抑えることとした。先行盛土期間確保のため,高架橋をフーチングから根巻鋼管を用いたパイルベント構造とし工期短縮を図ったほか,ネガティブフリクションおよび地盤ばねのばらつきに配慮した設計を行った。

施工では,軟弱地盤中の場所打ち杭コンクリートのはらみ出しの検討,高架橋建設前後の地盤変位測定を工事と併せ行っている。


図2: 高架橋全景写真
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図1: 移設計画図
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平成26年度 地盤工学会東北支部表彰(技術的業績部門) 支部賞

福島第一原発事故における災害廃棄物および利用自粛牧草放射能汚染対策事例


受賞者:成島 誠一(西武建設株式会社)
三村 卓(西武建設株式会社)
佐藤 昌宣(山川建設株式会社)
佐々木 登(株式会社平野組)
菊池 信司(株式会社板宮建設)

東北地方太平洋沖地震による福島第一原子力発電所事故に伴う放射性汚染物質の拡散対策の事例として,8,000Bq/kg以下宮城県内災害廃棄物の飛灰最終処分および岩手県内の利用自粛牧草に係る対策技術の事例について示す。

宮城県災害廃棄物飛灰の最終処分では,耐久性のある隔離層を設けた上で約14万tにおよぶ飛灰を安全に最終処分する使命があった。本業務では,筆者らが開発した土質系遮水技術であるベントナイト砕石厚さ5cmを隔離層とし,宮城県内各処理区からの飛灰荷姿相違による埋設作業の煩雑さを克服し安全に埋設処分した事例である。

一方,岩手県内の利用自粛牧草対策では,2つの自治体からほぼ同時期に業務を遂行することになり,風評被害のないように慎重かつ安全に減容化処理と長期保管が可能なペレット化技術により対処した。両事例とも震災復興に伴い作業員確保,資機材調達など厳しい状況下であったが,東北の当該地元企業との協力体制により震災復興の一助に寄与した。


図1: 宮城県災害廃棄物飛灰の最終処分事例
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図2: 利用自粛牧草減容化対策スキーム
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平成26年度 地盤工学会東北支部表彰(技術的業績部門) 支部賞

青葉山トンネル坑口斜面で発生した崩壊の機構解析と対策工設計


受賞者:吉原 久夫(大日本コンサルタント株式会社 東京支社)
松山 一昭(大日本コンサルタント株式会社 東北支社)
山口 淳煕(大日本コンサルタント株式会社 東北支社)
宅川 正洋(大日本コンサルタント株式会社 東京支社)

平成24年5月3〜4日の豪雨により,仙台西道路・青葉山トンネル愛子側の坑口上部斜面が崩壊したため,地質調査および対策工設計を行った。

地質調査で斜面の地質構成や崩壊形態を明らかにし,地質を考慮した安定解析(土砂部:円弧すべりによる安全率計算,軟岩部:緩み範囲をスベリ面とした逆算法)を行い設計に反映した。

対策工は,希少植物への影響が少なく,確実性・経済性に優れる【吹付枠工+グラウンドアンカー工】を選定して詳細設計を実施した。また設計にあたり経済的なアンカーの計画,トンネルや既存木への影響を考慮したアンカーの配置を検討した。

施工時には,眺望・植物への影響に配慮し,平滑な法面の形成,索道の使用,希少植物の生育状況確認や希少植物の移植等が行われた。

今回の調査・設計・施工により対策工が完了し新たな崩壊の危険性は低くなった。時間の経過とともに植生が根付いて崩壊前の緑豊かな斜面に戻ることが望まれる。


図1: 対策工断面図
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写真1: 対策後の状況(平成26年6月)
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