JGS-Tohokuロゴ 公益社団法人 地盤工学会東北支部 アクセスカウンタ (since 2000/09/10)

  トップページ   行事・活動紹介   行事日程   行事・活動   地盤工学フォーラム   地盤工学講座   地盤工学セミナー
(旧称: 若手セミナー)
  講習会・講演会・見学会   学術活動   委員会活動   調査・研究・出版物   支部表彰   授賞業績紹介   募集要項   社会貢献   技術協力・連携   出張講義のご案内   組織   沿革・規程等   組織・役員・委員   東北支部 賛助団体会員 芳名録   地盤工学会 特別会員(東北支部分)   地盤工学会 本部・各支部へのリンク   入会のご案内   入会案内はこちら
(地盤工学会本部サイト (外部リンク)
  東北支部 賛助団体会員のご案内   バナー

Copyright © 2017 公益社団法人地盤工学会東北支部/Tohoku Branch of the Japanese Geotechnical Society. All Rights Reserved.

平成24年度 地盤工学会東北支部表彰

掲載日:2013年4月11日(木)
最終更新日:2013年9月2日(月)

 地盤工学会東北支部では,地盤工学に関する身近で地域に密着した事業・研究等を通じ, 会員の専門技術力の向上,調査・設計・施工等の効率化・レベルの向上, 地盤工学のPR・イメージ向上などに貢献した優れた業績を毎年度表彰しております.
 表彰候補の公募を行い,地盤工学フォーラムでの発表と 応募書類に基づき表彰委員会において審査を行い,受賞者を決定します. 例年4月頃に開催される東北支部総会で表彰式が行われ, 受賞者には表彰状と記念品が贈呈されます.
 平成24年度は,以下の通り授賞を行いました.その業績をここに紹介します.

平成24年度 地盤工学会東北支部表彰(技術的業績部門)
  • 最優秀賞 1件
  • 支部賞  5件 (順不同)

(参考)歴代授賞業績・表彰規定等

平成24年度 地盤工学会東北支部表彰(技術的業績部門) 最優秀賞

東北地方新第三系堆積軟岩内不連続面の標準強度定数表の作成


受賞者:小松順一(奥山ボーリング株式会社)
藤井 登(奥山ボーリング株式会社)
村岡 洋(奥山ボーリング株式会社)
佐藤直行(一般財団法人 砂防・地すべり技術センター)
和賀征樹(奥山ボーリング株式会社)

 東北地方新第三系堆積軟岩層における崩壊面を主とする多種多様な不連続面(層理面)を対象として, そのせん断強さを独自に開発した試験機を用いて測定し続け,得られた強度定数 (c, φ) を岩質および不連続面の状態ごとに整理することによって, 「東北地方新第三系堆積軟岩内不連続面の標準強度定数表」を作成した(表1). これは,流れ盤を呈する堆積軟岩地帯での切土設計においては,既存の設計要領や土工指針は適用しづらいことが, 多くの技術者にとっての古くからの悩みの種であったことによるものである.

 標準強度定数の検証は崩壊面の形状が明らかになっている5断面を抽出し,簡便法による安定率を算定することによりおこなったが, 安定度評価に適用可能であることを確認した. ただし,崩壊層厚が薄く(計算断面では2m程度),崩壊面傾斜角が急勾配(計算断面では38°)の断面における安全率の精度に関しては, 標準強度定数表の適用可否を含めて今後の課題として残った.

 また,土工指針等に示されている,“流れ盤となる場合の切土は原則として割れ目の見かけの傾斜角と同じか,それより緩い勾配とすることが望ましい”との記載に関連して, 割れ目の見かけの傾斜角 (α’) と標準強度定数から設定したせん断抵抗角 (φ) との比較から,切土のり面勾配を評価する方法を提言した.

 今後,さらなるデータの蓄積により標準強度定数の精度を上げていく必要があるが, これまで経験に頼っていた切土のり面設計手法の精度そのものの向上が期待される.

表1:東北地方新第三系堆積軟岩内不連続面の標準強度定数
表をクリックすると拡大します.


参考写真:鏡肌を呈する粘土,スラリー粘土,軟質粘土,褐鉄鉱付着面

平成24年度 地盤工学会東北支部表彰(技術的業績部門) 支部賞

双葉断層劣化地帯での切土のり面安定対策 ― 常磐自動車道 南相馬IC〜相馬IC ―


受賞者:佐藤 勉(東日本高速道路株式会社 相馬工事事務所)
植本直之(東日本高速道路株式会社 函館工事事務所)
三苫 寛(ジオテックコンサルタンツ株式会社)

 平成24年4月8日に開通した常磐自動車道 南相馬IC〜相馬IC間(14.4km)は,西方に位置する阿武隈山地と太平洋に挟まれた丘陵地帯に位置する.

 当該箇所の切土のり面を構成する岩は富沢層の風化砂岩,風化凝灰岩質砂岩等で,開口性亀裂が発達し,脆弱で不安定な地質構造である. また,切土のり面は約40°の流れ盤の地質構造であるため,各所ですべり崩壊が発生した. したがって,ボーリング調査等に基づくすべり面の推定及びデータに基づく安定解析を行い, 切土補強土工及びグラウンドアンカー工等によるのり面対策工を実施したものである.

 具体的には,
  1. (1)表層崩落防止として,切土補強土工は「千鳥に配置」
  2. (2)施工性,安全性を考慮した「独立受圧板」を設置
  3. (3)グラウンドアンカーの配置は,今後の補強を想定し正方形に配置
  4. (4)のり面地盤支持力の脆弱性を踏まえ,グラウンドアンカー工は「引き止め効果のみ」考慮
  5. (5)安定解析では観測水位を使用したことから、水抜きボーリングを配置
 本工事は限られた用地内,工期内で,経済性・施工性を考慮した対策を選定した. また,動態観測として,パイプ歪計及び地下水位計の観測データをメール通信装置により, 自動的かつ定時に関係機関に送信するシステムを構築している.

図1:のり面対策工の施工状況


図2:のり面対策工の完了状況


図3:のり面グラウンドアンカー工の配置
図をクリックすると拡大します.

平成24年度 地盤工学会東北支部表彰(技術的業績部門) 支部賞

東日本大震災における原町火力発電所取放水管の被害と液状化対策工について


受賞者:柳橋淳市(東北電力株式会社 原町火力発電所土木G)
南場浩二(東北電力株式会社 原町火力発電所土木G)
足立有史(株式会社 間組 土木事業本部)
佐々木寛典(株式会社 東北開発コンサルタント 土木設計部)

 原町火力発電所は,平成23年(2011年)東北地方太平洋沖地震により,震度6弱の地震を観測するとともに13mを超える津波により甚大な被害を受けた. そのうち,取放水管の可とう継手は,周辺地盤の液状化により性能許容値を超える偏心が発生し復旧を余儀なくされた.

 取放水管復旧の検討にあたっては,津波による侵食の影響で地盤変状や液状化の痕跡等を正確に把握できなかったことから, 可とう継手の変状原因の分析と対策工の検討を目的に,詳細な地盤調査と地震動の事後推定をもとにした2次元FEM有効応力解析を実施した. その結果,可とう継手の変状原因を埋土の液状化によるものと判断した.

 また,液状化対策工の実施にあたっては,同規模地震に対し, 可とう継手の許容偏心量を満足する合理的な液状化対策工の設計と既設構造物に配慮した施工を行うことで,発電所の早期運転再開と安定運転に寄与した.


    図1:2次元FEM有効応力解析による変形図および過剰間隙水圧比分布

(a) 発電所の津波被災状況

(b) 可とう継手の鉛直方向の偏心
写真1:被災状況写真


写真2:施工状況(浸透注入固化工法)

平成24年度 地盤工学会東北支部表彰(技術的業績部門) 支部賞

仙石線多賀城駅付近高架化(起伏の激しい岩盤を支持層とする高架橋建設)


受賞者:成瀬大祐(東日本旅客鉄道株式会社 東北工事事務所)
鎌田卓朗(東日本旅客鉄道株式会社 東北工事事務所)
池野誠司(東日本旅客鉄道株式会社 東北工事事務所)

 仙石線多賀城駅前後区間の延長約1.8kmを高架化し,都市計画道路5箇所,市道4箇所の計9箇所において道路との交差が計画されている. 施工方法は,施工スペースが限られていることから,上下線分割施工としている.

 高架化事業における地形上の特徴は,地形図から基盤線が起伏に富むことが予想された. そこで,下り線施工に向けた基礎形式の選定及び支持層の調査が本事業の課題であった.

【基礎形式の選定】
 基礎形式は直接基礎ではなく,円柱断面基礎形式の大口径短杭を採用する検討を行った. この杭は,直接基礎に比べ基礎体積が小さい事,また仮土留めの替わりにライナープレートを用いたため,営業線への影響を小さく施工が可能となった.

【支持層の調査】
 地質調査は,標準貫入試験と小型動的貫入試験の実施を検討した. 砂質土層,粘性土層どちらも中間層には特異点が見られたものの,両試験は,ほぼ同深度にて基盤線を確認したため,小型動的貫入試験を採用した.

 以上の事から,平成24年4月に上下線が開通し,今年度中に駅部整備を完了する予定である.

図1


図2

平成24年度 地盤工学会東北支部表彰(技術的業績部門) 支部賞

震度6弱の地震による大規模地すべりとその対策工について(平成23年度 第11-4138-00053号 調査設計委託業務)


受賞者:渡邉敦宏(福島県いわき建設事務所)
中濱早苗(福島県いわき建設事務所)
中居英樹(応用地質株式会社 東北支社)
仙石昭栄(応用地質株式会社 東北支社)
丸山 圭(応用地質株式会社 東北支社)

 平成23年4月11日東北地方太平洋沖地震の誘発地震(M=7.0,最大震度6弱)によって福島県いわき市上釜戸地区で大規模地すべりが発生した.

 被災状況は,両切りの地方主要道に地すべり土塊が押し出し,一部路面が隆起し道路機能が失われた. 地すべりの規模は幅220m,長さ270m,最大厚さ30mである.

 保全対象の路線は,唯一の公共交通機関であるバス路線であった. 地元からの機能復旧要請を受けバス通行可能な仮道(2車線)の検討と,恒久対策工の解析・検討を実施した. また,これと並行して,住民の避難への警戒体制,及び仮道施工時の安全確保体制の確立,仮道路通行規制の監視計画の策定を行った.

 被災から142日後には仮道の早期復旧による交通機能確保することにより,震災後の復旧復興に寄与する共に,地域住民の生活の安定に大きく貢献する結果となった.

 対策工としては,抑制工(頭部排土,地下水排除工)と,抑止工(アンカー工:逆巻き)により斜面を安定化させる対策工法を採用した. また,仮道路については,交通機能を確保しての段階的切り替えを行いながら引き続いて,完全復旧に向けた工事が継続している.

    
       図4:対策工断面図 図をクリックすると拡大します.

図1:終点側全景
図をクリックすると拡大します.


図2:起点側全景
図をクリックすると拡大します.


図3:施工状況:福島県いわき建設事務所HPより
図をクリックすると拡大します.

平成24年度 地盤工学会東北支部表彰(技術的業績部門) 支部賞

岩手県・宮古地区災害がれき処理の現況と再資源化に関する検討


受賞者:小澤一喜(鹿島建設株式会社 技術研究所)
斉藤 広(鹿島建設株式会社 東北支店)
宮本卓郎(鹿島建設株式会社 東北支店)
中川克彦(宮古地区災害廃棄物破砕・選別等業務委託JV事務所)
豊田 毅(宮古地区災害廃棄物破砕・選別等業務委託JV事務所)
堀 克美(宮古地区災害廃棄物破砕・選別等業務委託JV事務所)
中西隆一郎(宮古地区災害廃棄物破砕・選別等業務委託JV事務所)

 2011年3月11日に発生した東北地方太平洋沖地震とそれに付随して発生した津波により岩手県は沿岸部を中心に甚大な被害を受けた. 地震と津波により大規模な建物被害が生じたことから沿岸域を中心に大量の災害廃棄物が発生している. 災害廃棄物等(津波堆積物を含む)の総量は岩手県全体で525万tであり,そのうち,廃棄物は395万t,津波堆積物は130万tとなっている. 本稿で着目する宮古地区JVではこのうち,87万tを処理する予定である.

 宮古地区JVは,田野畑村,岩泉町,宮古市の三市町村を対象として,破砕・選別等の中間処理を行っている. 処理対象となる廃棄物は粗選別,破砕,機械選別,人力選別等の過程を経て,最終的に,可燃物,不燃物,柱材・角材,コンクリートがら,金属くず,プラスチック類,分別土A(津波堆積物を分別した土砂),分別土B(不燃系混合物を破砕・選別した際に発生する土砂,1次仮置き場に集積された可燃系混合物をふるった際に発生した土砂),分別土C(可燃系混合物を破砕・選別した際に発生する土砂),その他(廃タイヤ,漁具・漁網等)に分別される. ここで,発生量の多い分別土Bは締め固め管理が比較的容易であり,せん断抵抗角が大きい等の性質から地盤材料としての再利用が見込まれる.

 しかし,分別土Bの再利用のためには,洗浄や高度選別により海水由来の塩化物イオン,フッ素,ホウ素を除去することや木類を取り除く事が求められる. 今後,これらの条件を考慮し,周辺の環境負荷を最小限とし,かつ,廃棄物として処分する量を低減できるような再利用法について検討し,早期に再利用を実現していきたいと考えている.

    
       図1:分別土Bの三軸圧縮試験結果(CD条件)

写真1:中間処理施設(藤原埠頭)


写真2:分別土B

支部表彰のページに戻る