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2024年5月 掲載
令和5年度 地盤工学会東北支部賞
令和5年度 地盤工学会東北支部賞 受賞者および受賞業績について
地盤工学会東北支部では,地盤工学に関する身近で地域に密着した事業・研究等を通じ, 会員の専門技術力の向上,調査・設計・施工等の効率化・レベルの向上,地盤工学のPR・イメージ向上などに貢献した業績を毎年度公募しております。 応募があった業績については,書面や地盤工学フォーラム東北における発表内容を厳正に審査し,優れた業績を表彰しております。
令和5年度につきましては,以下のとおり受賞者を決定いたしました。受賞者各位に敬意を表し,ここに記載いたします。
技術的業績部門
支部賞(最優秀賞) 「新第三系泥質岩の流れ盤切土のり面における安定性評価方法の提案」
業績の概要:東北地方に広く分布する泥質岩で発生の懸念される流れ盤切土のり面崩壊について,調査及び安定性評価方法を示した. 事例分析から崩壊に影響を与える要因として「せん断強度の小さい層理面」と「崩壊ブロックの頭部や側部形成する節理等割れ目」の存在を特定した. 褶曲軸や断層との距離が2.5km以内で崩壊可能性が高いことを示した.層理面傾斜角や層理面せん断強度等から安定性を読み取ることができる「流れ盤安定性評価図」を作成した. 層理面のせん断試験が実施できない場合,過去の試験データから設定した標準強度値の適用により,安全側ではあるが安定性の評価が可能であることを示した. 調査から安定性評価までを体系的にとりまとめたことにより,切土のり面の調査,設計および切土施工中の現場において,流れ盤崩壊の防止を期待できる.
支部賞 「宮城丸森開閉所敷地造成工事の盛土設計と施工」
業績の概要:東北電力ネットワーク鰍ナは,電力広域的運営推進機関における「東北東京間連系線に係る広域系統整備計画」に基づき,宮城丸森開閉所を新設し,
既設500kV常磐幹線・新地火力線の引込み,さらには東京電力パワーグリット鞄いわき開閉所向けに丸森いわき幹線と既設宮城中央変電所向けに宮城丸森幹線の建設を計画しており,2027年11月の運用開始を目途としている.
宮城丸森開閉所の新設工事については,2017年3月に候補地点を決定し,2017年4月より基本設計および地形測量・地質調査・敷地造成設計等の調査設計を行い,2019年3月〜11月にかけて主要な用地取得が完了したことから,
2020年9月より伐採工事を開始,2020年12月より土木第一期工事(敷地造成工事)を開始し,2023年5月に竣工した.
今回は,敷地造成工事として施工した土工事(切土,盛土),防災調整池工事,法面対策工事,搬入道路工事のうち,法面高が約40mとなる盛土を施工したことから,その設計,施工および施工状況,品質管理を報告した.
支部賞 「斜面内排水工の効果的な配置と地下水位の簡易算定手法に関する研究」
業績の概要:斜面の安定性を向上させるため,斜面内には排水工(ドレーン)が設置される。 ドレーンを設置することで斜面内の地下水位が変化するため,その水位変化が斜面全体の安定性に与える影響を適切に把握することが重要である。 本研究では,ドレーンの効果的な配置を実現するため,数値実験に基づき,ドレーンを有する斜面内地下水位を推定可能にするための関係式を提案した。 この関係式を用いて,斜面の安定性を評価する指標として,すべり面上に作用する間隙水圧を用いることの有効性を示した。均質な斜面を対象として,設置したドレーンの長さおよび間隔に応じた間隙水圧の低減量を表す設計用チャートを作成した。 さらに事例検討として,東北地方のある地すべり斜面を対象に,作成したチャートを用いることで安全率を定量的に見積もることが可能であることを示した。
貢献的業績部門
今西 肇 氏 一般社団法人和合館工学舎 学舎長
五十嵐 勝 氏 元 株式会社ダイヤコンサルタント
池本 栄一 氏 株式会社東北基礎調査 取締役・技術部長
飛田 善雄 氏 東北学院大学名誉教授
山川 優樹 氏 東北大学大学院工学研究科土木工学専攻 教授
山口 晶 氏 東北学院大学工学部環境建設工学科 教授